2024.10.4 転倒して頭部打撲した患者

「転倒して頭部打撲した患者を搬送してCTをとる」という業務基準の介護施設
 「転倒して頭部打撲した患者を搬送してCTをとる」という業務基準の介護施設群がある。その介護施設の患者さんは外来通院しているわけではない。在宅療養支援診療所が患者さんの医療を担当している。
 私は、そのような介護施設の管理職と会うと、「在宅療養支援診療所は昼夜を問わずいつでも相談に乗ってくれるから、まずは在宅療養支援診療所に連絡をして判断を仰ぐのがよい。頭部打撲した方の全員に画像診断が必要とは考えられない。」とお話しする。しかし、当該介護施設の管理職は「会社の規定ですから」という話になる。
 在宅療養支援診療所の医師が相談に乗ってくれないわけではない。医師がいつでも相談に応じる場合でも、会社の規定が優先らしい。会社の規定は、医師法上の医師の判断を超えるものであると当該介護施設では認識されている感がある。もしかすると、その会社では、過去に、頭部打撲した入居者の様子を施設内で見たところ、悪い経過を辿った方が居たり、あるいは利用者からの訴訟を経験し、そのような業務基準を作っているのかもしれない。
 一方で、そもそも、在宅療養支援診療所は「在宅医療推進のための診療所制度」であるが、別の意味では、「患者がむやみに救急病院にいかなくてもよい」という便宜を図るとともに、救急病院の忙殺と疲弊を回避するための制度である。「転倒して頭部打撲した患者を全例搬送してCTをとる」という業務基準は、救急病院を会社の規定によって多忙にする業務規定であり、医療の構造としては不自然なものである。
 在宅療養支援診療所が医療を担当している場合、やはり、何らかの病状変化やけがが利用者に発生した時、在宅療養支援診療所の医師と相談のうえ、施設内で経過をみる(施設内で診療する)か搬送するかどうかを決めるのが良いと考える。また、その搬送の際には、在宅療養支援診療所に紹介状を作成してもらうのが良いと思う。
(和田忠志)
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